瞳を輝かせ、微かに上気した頬、そして穏やかな微笑(え)み。
――子が、宿ったか。
「身体、愛おえ」
それしか言えなかった。

瞬間微笑みが凍り、血の気が失せる。
背を向ける一瞬、深く傷つく瞳。
――許せ、りん。
子がいらぬわけではない。
――半妖。
りんの涙にさえ溶けぬ、頑なな心。

誇りとは何とやっかいなものか。
りんを悲しませてまでの誇りに、何の意味があるのか。

犬夜叉はそのままに生きることを選んだ。
娘はそのままを受け入れた。

――あるがままに、そのままに。

月が満ち、自然の理は生命(いのち)を産みだす。
腕に抱く新しき生命。
優しさ、愛おしさ、歓び。
偽らざるこの思い。
遠い時間の未来に願うのは、父の揺るぎない誇りを、母の大きなぬくもりを
おまえの信じるままに生きて欲しい。